きびしい暑さの夏がようやく過ぎ去り、風が心地よい夕方を迎えられるようになった。幼稚園は二学期に向けた準備に追われていたが、8月の最終日、教職員や家族が集まってお疲れさんのバーベキューを楽しんだ。行事に負われる日々が巡ってくる前に、夏の疲れを労り、心と体を一緒に満たそうという企画である。
夏休みとは言っても、ほぼ毎日顔を合わす人もいれば、今週になってようやくお目にかかった人もいる。物理的な顔合わせだけでなく、この5ヵ月あまり、やはりそれぞれが仕事に追われている中では、その人の背景に迫ることはなかなか難しい。炭火を囲み、和気あいあいとした中で、思いもかけない横顔を見出したり、それぞれの抱えているものをかいま見たり、理解出来ないまでもわかり合おうとする思いを育むことができたように思える。それぞれがどのようにこの夏を過ごし充電したのかを伺うこともまた意義あることだった。
世の中には赤ん坊もいればお年寄りもいる。様々な人がいてそれが社会なのだが、こと「幼稚園」という現場では、経営上の制限もあって、いろんな人がかかわり合う環境を作ることは難しい。頌和幼稚園も経営上は決して安泰ではないのだが、それでもいろんな人が子どもたちとかかわる環境ではある。そしてそれは一方的に「子どものため」ではなく、かかわり合う全ての者のためにある環境でもあったのだ。いろんな人がいるという、思えばきわめて当たり前の状況がもたらす喜びや苦悩が、実は人を育てるのだろう。子どもだけでなく、大人たちもそれによって育っているのだ。
緩やかな輪の中でのびのびと自由に。そこに居るまずわたしがこれを心地よく思えなければ意義は伝わるまい。ところが、何も無理せずとも事実、何とも心地よい。一番楽しんでいるのかも知れない。