年間100人を超える自殺者──自衛隊の数字である。国全体では3万人を超えると言われて久しいが、そのうち0.3%が自衛隊員の自殺者ということになる。26万人からなるとされる三自衛隊員の0.038%、1億2千万の国民のうち3万人自殺の割合が0.025%であることを思えば、いわゆる自殺率で1.5倍も自衛隊に密集していることになる。
しかもテロ対策特別措置法とイラク復興支援特別措置法に基づき海外に派遣された自衛隊員のうち計16人が
在職中に自殺していたことも明らかになった。
自衛隊に固有の問題があって、そのために死を選ぶという現実もお寒い話ではあるが、一方イラクに派遣されていた自衛官が在職中に自死するということは、単なる「固有の問題」以外の力が働いていると見ざるを得ないのではないか。まして派兵され、帰国して退職した自衛官については把握していないとなると、一体どれほどの方がこれを苦に自死されたのかわからない。わからないから問題が根深いと感じられるのだ。
収穫感謝は、単にたくさんの収穫を感謝するにとどまらない。神の祝福が一年の間豊かに注がれてきたことを思い直し、あらためてその恵みに感謝をささげる暦上の一年の最後の主の日の重要な主題である。その恵みを想う時、まさに戯れ的なスローガンで戦地に送り込まれ、帰国して後自死に至った方々の計り知れない思いが、叫びが、聞こえてくるような気がする。この悲惨の結果をもたらしたのは自然現象などでは断じてなく、人間の奢りだ。偶発的な事件や事故は制御出来ないかも知れないが、戦争を始めるのは明確に人間、しかも組織なのであり、その気であれば完全に制御可能なのだから。