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No.387 遅さはトロさか?

エッセイ「多摩川べりから」
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 最近、古い時代にことを思い出す。
 古いと言っても自分が生きてきた道筋だから、想い出すのにさしたる苦労も不都合もない。50年を超える時間がフィルターになって、古い時代だけを取り立てて美しく思ってしまうことがなきにしもあらずだが、それを割り引いても、やはりそこから今を見るといろいろと考えさせられる。
 時代が古いということは、端的に言えば「遅い」ことだ。逆に「新しさ」は「早い」ということに代表される。遅いということ自体が問題なのではなく、それによって「待たされる」ということが問題だ苦痛だと感じさせられる。それをクリアすることが「新しさ」「イノベーション」だと感じてしまう。
 パソコンは今でもクロック周波数が競われるし、携帯電話もデータ通信速度が勝負になっている。一方、多少遅くて「不便」であっても、その分料金が安いという新規スマートフォンがそれなりに売れているらしい。これは早さ追求の真逆であって、結局目指している向きは同じことだからこそのこと。
 一方、地中深くを飛ぶように走らせて品川から名古屋を40分で結ぶとの謳い文句で着工されようとするリニアモーターカー。確かに品川から名古屋が40分で移動できると言えば、飛行機に匹敵する早さだろう。
 だが、飛行機は実際に飛んでいる時間は短い(=早い)が、空港までのアクセスがボトルネック。その点いつも新幹線にアドヴァンテージがあった。ところが、スピードを追求するリニア計画では飛行機と同じボトルネックに悩まされることになる。その結果、在来の新幹線とそれほど差別化できないという試算もある。
 必要な電力や工事の排土の問題など、冷静に見れば問題の山は相当高い。それを乗り越えるコストと、得られるスピードのパフォーマンスのバランスは、本当のところどうなのだろう。
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