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No.537 「こんな人たち」考

エッセイ「多摩川べりから」
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 「こんな人たちに負けるわけにはいかない」と言う総裁。それを「首相の発言は極めて常識的、全く問題ない」とする官房長官。だが、結果的に都議会議員選挙で負けるわけにはいかない自民党が歴史的大敗を喫した。変わって勢力を伸ばしたのはしかし、保守勢力に変わりない看板だけ付け替えたようなグループだった。
 自分のやりたいことに何でも反対してくる人というのは、どんな場面にもいるものだ。昔大先輩から「お前の意見に賛成だという人が仮に10人いたら、その場で見えなかったとしても10人は反対だと思われているのを忘れるな」と諭された。私の影響範囲なんてたかが知れているが、いつでも反対の意見に晒されているということはおかげさまで忘れたことはない。そして責任やちっぽけでも権力を持たされている以上、意見に反対する者たちのためにも不利益を被らせないように動かなければならない。それが責任や権力を与えられた者の使命だと思う。
 選挙という民主主義のキモの部分で、党の総裁が自党候補者のための応援演説中に、露骨な反対意見、それも無視できないほどの勢力に直面した際に、意図的かどうかはともかく咄嗟に、自分たちと彼らとはちがうとマイクを使って発言したその彼には、「内閣総理大臣」という常人の背負い得ない責任とそれに伴う権力が与えられていたのだ。総理と総裁が一つの人格の中にある以上、周りの人間にとっても本人にとってもそれを正確に分離することは難しい。となれば、たとえ党総裁の発言であっても、一国の総理が発言したと捉えられるのは致し方ない。その総理が、国民を二分し「反対者に負けるわけにはいかない」と発言したと捉えられた。裏から見れば「賛成者だけで国を進めたい=独裁したい」というふうに見れるわけだ。
 他山の石。ちっこくても責任と権力を委ねられていることを忘るべからず。
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