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No.552 日本の國がさかえるように

エッセイ「多摩川べりから」
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 「みなさん、あたらしい憲法は、日本國民がつくった、日本國民の憲法です。これからさき、この憲法を守って、日本の國がさかえるようにしてゆこうではありませんか。」。「あたらしい憲法のはなし」はこの言葉で閉じられている。
 「あたらしい憲法のはなし」は当時の文部省が日本国憲法の解説のために新制中学校1年生用社会科の教科書として1947年8月2日に発行した。朝鮮半島が不穏な情勢となった1950年4月に副読本に格下げされ、1952年4月から発行されなくなった。僅か6年ほどの運命だが、実際にこの本で学んだ中学生は2〜3年間程だったらしい。
 この副読本で一番ページを割いているのは「國会」。選挙権の正しい行使について新制中学生にどうしても伝えておきたい熱意が感じられる。たとえばこうだ。「みなさん、民主主義は、國民ぜんたいで國を治めてゆくことです。そうして國会は、國民ぜんたいの代表者です。それで、國会議員を選挙することは、國民の大事な権利で、また大事なつとめです。國民はぜひ選挙にでてゆかなければなりません。」。
 この本で日本国憲法を学んだ人がもっと長い年代に亘っていたら、どんなに良かったことか。そうしたら憲法に立った国がしっかりとできたのではないだろうか。戦後、憲法に立った国になったことが一度もなかったのではないかと、残念ながらわたしには思えてしかたがない。少なくとも「立憲主義」を標榜する政党が今必要なのだということこそが、それを表している。本来なら立憲主義は言わずもがなでなければならないのに。
 わたしたちももう一度中学生に立ち帰って、この言葉を胸に刻もう。「みなさん、あたらしい憲法は、日本國民がつくった、日本國民の憲法です。これからさき、この憲法を守って、日本の國がさかえるようにしてゆこうではありませんか。」。
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