大飯原発の下を走るF6断層は、活断層なのか地滑りなのか。原子力規制委員会の
専門家調査団の会合の様子がテレビのニュースで流されていた。「マイクを奪い合う場面も」などとその様子を面白可笑しく取り上げているものもあるのだが、事はそんなにおもしろい話ではない。
活断層であれば原発は稼働を止めなければならないという。規制委員長は「クロは当然、濃いグレーでも止める」と言った。そもそも「濃い」とはどういう状態を意図していたのかわからないが、素人の私には今回の調査結果はまさに「濃いグレー」だろうことを疑う余地はない。であれば当然大飯原発は稼働を止めるだろうと思ったのだが、どうもそうではないらしい。
あの会合の場面をテレビで見ていて、今後例えばどれだけ再調査が続いて、データが次々と増えていったところで、一致した結論に至ることはないだろうなと思えた。どれだけデータを集めても、結局「そうでない可能性」が残るだろう。であればその状態が「濃い」のか「薄い」のかは、責任者が決断して決めるということになるのが常識的判断ではないだろうか。
学術調査ならば何年も何十年も議論を続けていいだろう(議論のタネがあるということは、飯のタネがあるということなのだから)が、その悠長さを、いのちと引き替えに耐えさせられるわたしたちはたまったものではない。まず稼働を止めて、それから何百年も議論すればいい。仮に止めたら、財界から強烈な圧力がかかるだろうから、規制委員会も悠長ではいられまい。その分無駄な税金も使わずに済む。
「原発を止めると関西の経済が立ちゆかない」という
キャンペーンが早くも始まっているが、国民に対する恫喝だ。動かす前提ではなく、動かさない前提でこれからどうするかを、我々が自らの知恵と力で勝ち取り、実践を積み上げれば良い。国民を馬鹿にしないでもらいたい。