幼稚園はまだ夏休み中で、子どもたちはどんぐりくらぶの4〜5人以外いない。二学期の始業式はこの火曜日だが、経営側としては2016年度の募集に向けてぼちぼち準備を始めている。今月末には入園説明会が開かれるのだ。
27日(木)東京新聞朝刊の一面に大きな記事が掲載された。「給食ない夏休みSOS──困窮家庭『子どものご飯どうしたら』」。この記事は寄付で集めた食品などを生活困窮者に届けるボランティアを取材したものだが、なんとその団体は「
フードバンクかわさき」だった。
子どもの貧困が6人に一人と言われて情報としては知っていたのだが──そして恐らく川崎区でもそういった状況が起こっているだろうことは想像できてはいたのだが──、フードバンクが川崎(多摩区)でも活動していることは知らなかった。正直驚いた。「情報」が「現実」に変わる、問題が一気に身近になった気がした。
学校があれば給食もあって、子どもは少なくとも安心して一食は食べられる。だが長期休暇になると食事は家庭で用意しなければならない。しかしそれが充分に出来ない。さらに、夏休みだといってレジャー外出も出来ない。だが家にいればいたでクーラーなどの電気代もかかってしまう。この夏、そんな重荷に押しつぶされそうになりながら猛暑の季節を過ごした人たちが確かにいるのだった。
幼稚園は、結構な費用を負担できる家庭によって支えられている。つまり、入り口から格差があるということだ。ここ数年保育料が未納のままという状態は経験ない。だが、貧困は決して彼岸の出来事ではないし、その境界線は案外低い。そういう現実を踏まえて、お預かりしたお子さんを充分にケアし、生きる力を少しでも伸ばしてあげるにはどうしたらいいのか。与えられたこの環境で出来る最善のことは何か。そして正直にわたしたちには出来ないこと、不得手なことは何か。それを明確に仕分けることから募集の準備は始まる。