西日本の豪雨から一週間が経った。
死者が200人を超え、安否不明者もなお60人を超えている。加えて一週間を過ぎてなお2000人以上が孤立状態だという。土砂崩れが広域で発生したためとみられている。今回の災害の特徴とも言えるだろう。
手塚治虫さんは「
火の鳥 未来編」で、核爆発で世界が死滅したあとの人類再生を描いている。ところが何かの間違いで恐竜たちはナメクジに襲われ滅ぶ。ナメクジが進化を遂げて直立歩行を始める。やがて白色北方系と黒色南方系が争い両方が滅んでいった。ナメクジ文明が滅んだとき「生温かい雨が何千年も降りそそいだ/それはナメクジの文明どころか/中生代のなごりをあとかたもなく流し去った」と描いた。
西日本豪雨のさなか、久々に大きな地震が関東地方に起こった。そして各地で土砂災害が報じられた。そんな一連の現象を見た時、わたしの頭の中に「火の鳥 未来編」のこの場面が思い浮かんだ。まるで地球が身震いし、雨が人間の文明を跡形もなく流し去ろうとしているかのように思えたのだ。
時を同じくして今年1月1日現在の国内の日本人人口が
発表された。9年連続、特に今年は37万人あまりと調査開始からの50年間で過去最高の減少となった。だが東京は約7万人増え一極集中が加速しているとも報じられた。
つまり、地方からの人口流入(地方基準で見れば人口の流出)が続き、しかもそれが加速しているということだろう。2014年の内閣府調査で、災害が起きれば孤立するとされた集落は全国に1万9千以上あるという。勿論豪雨災害は過疎地にだけ起こるわけではない。そうは言っても復興は人口の多い方から始まるだろう。そうなると辛うじて保ってきた集落が限界集落に転じ、過疎=国土荒廃が加速、それによって災害も大規模化することになる。
そして更に困ったことに、それに対応する手立ては今のところ皆無だ。