高校生の頃、寮の5キロほど先に新潟東港があった。そこには巨大な石油備蓄基地があり(「テロ警戒中」なんてそこら中に張り出される今では考えられないのだけれど)、タンクの並ぶ広い道路、しかも人影もないのを良いことに、悠々貸し切り状態でのんびりチャリンコを転がした。
荒野みたいな場所に巨大なタンクがいくつも居並ぶ様はなんだかゾッとしたものだ。バベルの塔の話しを幼少の頃から何度も何度も聞いて育ったわたしはどうも人間の叡智の結集たる巨大建造物を根本的に信頼できないようだ。
そうは言っても今の時代普通に生きるなら巨大建造物と無縁ではいられない。目の前にいくつも大きなビルが建ち並び、高架橋を猛スピードで走る電車の下を無防備で何度も歩く。東京湾を横断するゲートブリッジ(通称恐竜ブリッジ)なんて通るのが楽しいくらい。でもその橋の前後にいくつもの巨大な風力発電の風車が回っているのはちょっと怖いかな。特に夜なんて。
その巨大風車が台風とはいえ根元から倒れ込んでいる
映像を見た。淡路島。全高60メートル。プロペラが土にめり込んで倒壊の威力を偲ばせる。その割に基礎部分があまりに小さく思えたが、どうやら2重基礎だったそうだ。で、今以て倒壊の原因はハッキリしないという。
「安全」を「神話」で補強してはいけないことをわたしたちは3・11で思い知らされた。それまでだって何度も何度も思い知らされることはあったが、しばらくするとどうしても切迫感は薄れるし、だいたい忘れてしまう。ひょっとしたら毎年新たに引き起こされる「異常気象」は、すぐ忘れてしまうわたしたちに、忘れる暇を与えない装置なのかも知れない。
9月に入った。しかし9月1日の川崎区は最高気温31度。夕暮れが少し早まって日暮れには少し涼しくなってくれるのは有難いが、残暑と呼ぶにはまだまだ厳しすぎる。覚えていようにも頭がぼーっとなるなぁ。