台風の影響を受けた九州大学生協の
張り紙が話題になった。「助けてください 九大祭中止で、生協に予約されていた食材のほぼすべてがキャンセルになりました。店内にて特価で販売中。発注ミスとかじゃないのに。台風のあほ。」
不可抗力の自然現象に「あほ」と言うしかない担当者の思いが偲ばれる。関係者みんなの思いをみごとに代弁しているのではないか。
幼稚園はその日プレイデーだった。雨なのはしかたない。体育館で開催しよう。午後には影響が強まるだろうから午前中だけに短縮し急いで終わろう、というプランをつくっていた。ところが金曜日になって小学校から「学校が避難所になる。体育館が使えない。」と連絡が入った。あえなく決行を断念。文字通り不可抗力(人の力ではどうにもならないこと)だった。
15号では幼稚園の床上浸水というこれまで経験したことのないような被害を被ったが、一方19号は全く心配には及ばなかった。後日小学校に赴き次の計画を話し合った際も、教頭先生が職員や地域の方々の話を聞いた上で、川崎小学校周辺では19号は15号より被害が少なかったようだと仰った。
だが、多摩川はそうはいかなかった。台風が接近するかなり前から氾濫危険情報が流されていた。実際堤防のマンションに住む職員は「あと4〜50センチで堤防を越えそうだった」と話した。圧倒的な雨被害だった。その濁流に川崎戸手教会は1階が水没し、2階の床上15センチまで浸水した
という。
大きな河川が氾濫危険水位に達したということは、そこに流れ込む小規模河川の水が行き場を失ったことを意味する。武蔵小杉や二子玉川の浸水はそういった河川や下水道の水が行き場を失って起こった。人口急増に対してインフラが十分ではなかったのかも知れない。都市部に極めて特徴的な被害形態に思える。
自然に対して人の営みは弱いものだ。せいぜい言えるのは「台風のあほ!」。