幼稚園は新年度の入園希望者を募る季節になった。
10月15日に入園願書を配付し、11月1日には提出してもらう。希望する人はなるだけ受け入れるようにと川崎市幼稚園協会からもたびたび依頼されているが、どうしても限度はある。希望される方が不利にならないように善意で、今年は受け入れ数以上の方々には配布の翌日に他の幼稚園をお考えくださるようにあらかじめお願いしておいた。
そうやって迎えた受付日にキャンセルする人が現れた。さらに3日の入園面接当日もキャンセルがあった。その結果、次年度幼稚園全体の総数としては満たされてはいるのだが、それぞれ各学年で配慮した数字には届かないこととなった。
頌和幼稚園は教会との関係を大切にしているので、受付から面接の間に日曜日が入った今年、どうやらその間に第一志望幼稚園に合格して、滑り止めとしていた頌和をキャンセルするという状況だったようだ。もちろん想像の域を超えないが、幼稚園の入園が厳しくなっている川崎の現状で、親たちが考える最善の方法と、幼稚園の善意とが、もののみごとにすれ違っていることを示しているように思える。
経営の観点からはなんら問題は起きないのだが、期待してお待ちしていた側としては、ショックを受けた状態で入園面接に望まなければならなかった。幼稚園には理想とする保育があって、だからこそきつい仕事であっても熱意を持ってその実現に進んで行くことができる。だが、それはあくまでもこちら側の論理。相手側としてはそれほどでもない人が少なからずいるということだ。ショックから数日経って、少し冷静になって状況を観れば、それは当然のことなのかも知れないのだが…。
選ばれる側の厳しさ、切なさも拭い切れず残されてあるのだ。嗚呼。