先週、幼稚園は「園まつり」を行った。3日間を費やすまさに「まつり」。だが開催にこぎ着けるまでには、さらに長い時間を費やさなければならなかった。それこそが「園まつり」の醍醐味でもあるのだが…。
まず、子どもたちに「園まつりで何をやりたいか」を投げかける。自由にことばが発せられる。教師たちはそのことばを拾い上げる。各クラスから出たことばを集めて、今年の園まつりの中味が決められていく。中味が決まったら、ことばを具体的な形にする作業が続く。教師たちだけでは当然手も時間も足りないから、お母さんたちやお父さんたちにも手伝ってもらう。もちろん子どもたちも自分のことばを形にする作業に向かう。
こうして準備を詰めていって初めて「園まつり」を迎えるのだ。
ことばを形にする作業と一口に言ってしまえば簡単だが、実際にはとても難しく厳しい。限られた時間の中でそれを実現させることはもっと厳しい。けれども不思議に、取り組む一人ひとりの表情は厳しくはない。難しく厳しいことに取り組んでいるのだが、やはり楽しいことには違いないのだ。だからなのだろう、自然と表情は穏やかになる。
わたしも作業の一部を担った。作業するわたしのそばに毎日必ず引っ付いてくる子どもがいる。彼は昨年、園まつりで部屋が日々変化することに不安を覚えて「だからボクはこういうことがイヤなんだ」と語っていた。今年作業する園長に「ボクは園まつりが大好きなんだ」とつぶやいている。ほぉ、この子がこんなことを言えるように成長したのか、と、作業の手を止めてその顔をまじまじと覗き込んだ。