ようこそ、川崎教会へ

No.171 望郷

エッセイ「多摩川べりから」
元のサイトで完全版を読む
 久しぶりに東北新幹線に乗って青森・三沢に出かけた。農村伝道神学校同窓会研修会が、三沢の古牧温泉・青森屋(旧古牧グランドホテル)で開かれ、出席するためであった。  実家に前泊し、レンタカーで盛岡に向かった。今から四半世紀前に住んでいた懐かしい土地である。ちょうど東北新幹線が大宮−盛岡間で開通した頃だった。新しい駅舎は市街地─城址公園方面から北上川にかかる美しい開運橋を渡ったぶつかりにあって北口と南口を備えていたが、今回出掛けたらさらに西口、つまり当時の駅裏に大きな再開発地区が出来上がっていた。盛岡駅も新幹線ターミナルではなくなり、東北新幹線も八戸まで延伸され、この暮れには青森まで伸びるらしい。時代の移り変わりを思わせられた。  レンタカーは北上駅で借りた。受付の女性が「返却にはガソリンを満タンにしてください。盛岡駅周辺ではガソリンスタンドがどんどん潰れているので、盛岡に入ったら早めに給油した方が良いですよ」とわざわざ教えてくれたのに、すっかり忘れてしまい、慌てて駅周辺で探したが、見知らぬ大きな道路が駅の東西を貫くように走り、当時とは一変した風景では勘も働かず、ようやく探し当てて駅に滑り込んだ時には「はやて」号の出発時間ぎりぎりだった。「変化の乏しい地方」を甘く見ていた。  盛岡には三大麺料理がある。蕎麦、冷麺、そしてじゃじゃ麺。冷麺は川崎にも出店しているが、じゃじゃ麺はあそこでしか食べられない行きつけの店があって、今回もどうしてもそこで食べたくて立ち寄った。そしてその味を堪能している間にガソリンのことをすっかり忘れてしまったのだ。  旅の出だしからしてスリル満点になった。が、その味に、その変わらぬ店の佇まいや小路の風景に、ずいぶん変わったとはいえ見慣れ、親しんだ風景に、すっかり癒されもした。やはりわたしは東北人だ。
もっと見る