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No.182 ブームに飲み込まれては

エッセイ「多摩川べりから」
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 昨日18日と今日19日は、厚木で「B-1グランプリinあつぎ」が開催されている。いわゆるご当地B級グルメの祭典である。実はわたしの出身地、秋田県横手は「横手焼きそば」で前回第4回のゴールドグランプリを獲得した。まぁ、その年は会場も横手だったため、ホームチームのアドバンテージもかなりあったのだろうが。  この催しはテレビ各社も取り上げて、今や一大ブームとなりつつあるようだ。各地でB級料理を中心に町おこしのための組織が作られ、業界だけでなく行政も巻き込んでPR活動が行われている。横手焼きそばも「横手焼きそば暖簾会」という町おこし団体を設立し、現在50の正会員店と6つの製麺会社、41の賛助会員店で構成されているという。「横手やきそば道場」に合格したお店には暖簾会から「幟」が送られ、正規の横手やきそばを提供しているお店の証になっているらしい。その熱意、町おこしにかける情熱はわからなくもない。だが、横手の至るところにその幟がはためいている姿はわたしには「賑わい」には見えないのだ。  子どもの頃から贔屓にしている駄菓子屋がある。中学の理科教師の実家であるその店は軽食、喫茶、そして焼きそばを提供していた。中学生にはたまり場であり社交場だった。だがその店もついに暖簾会公認の幟に占領された。もはやその店の味は薄れ、面白味のないグローバル(?)スタンダードの味になってしまった。  駅の売店や土産物屋で箱入りの「横手焼きそば」を買うのであればそれもよかろう。だが、町おこしはかえって店の個性や、何よりそこに心を寄せる人の思いまで平板にしてしまったのではないか。  巨大ブームに飲み込まれてゆくふるさとの姿を、わたしは喜んでは見られない。へそ曲がりで結構だけどね。
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