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No.206 幼稚園のつくるゆめ

エッセイ「多摩川べりから」
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 川崎キリスト教学園の理事会・評議員会を終えた。今回は今年度の補正予算と来年度の当初予算を審議した。厳しさの続く年度であることが予算書にありありと現れている。  約二時間の審議を終えて食事を共にしている時に、評議員の一人が「なかなかに夢がある」と語った。彼は近隣教会の牧師でもあるのだが、「牧師」という職業ではなかなか味わうことの出来ない夢だというのだ。  確かに新年度の当初予算では、資産を500万円ほど食い潰し、大規模修繕のための引当金100万円を一時停止し、さらに減価償却500万程度を回収できない組み方になっている。一般の会社であればとうてい容認され得ない予算組。上程する側も相当に覚悟をして臨んだもの。  ただ、食い潰すとはいえ、無意味に消費しようというわけではない。ピアノの新規購入、園庭にシンボルタワーを建て、橋を架けて本館と砦を繋ぐ回廊を造る計画、そしてエアコン室外機の改修など規模の大きい支出が組まれているのだ。そういう予算組に対して上記の感想が語られたのであった。  わたしたちは収益を期待しない。むしろ全てを子どもたちに還元していきたい。そうは言っても、現実には子どもたちのために汗を流す大人が必要で、そのための経費は当然かかる。それを差し引いてなお仮に資産を蓄えるとしたら、「全てを子どもに還元する」という理念の施設を存続させるために用いるに過ぎない。だから、厳しいけれども夢があるのだ。  幸いに、そのことに共感してくれる職員がいて、その理念を信頼して子どもを預けてくださる家庭があって、維持できている現実がある。国や制度がそれを「幼稚園とは呼ばない」という時代が来るとしても、わたしたちはむしろ胸を張って「どうぞどうぞ。ただわたしたちは信じた道を行きます。」と言える者でありたいと思う。
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