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No.245 不適切な本音

 沖縄防衛局の田中聡局長の不適切発言が問題になっている。普天間移設を巡る問題で、女性を誹謗するたとえを用いて語る──しかも酒の席で──など言語道断ではあるが、一方で、別の見方も出来るのではないか。
 不適切発言で更迭された閣僚や事務方は田中局長だけではない。福島第一原発周辺を視察した経済産業大臣が「死の町」発言をして更迭されたのはついこの間だった。この時も記者との懇談の席で飛び出した発言だった。
 記者たちとの懇談会──往々にして酒席での──とは一体何なのだろう。それは取材対象なのだろうか。そこでの発言を不問にするのは不文律だったのだろうか。発言が飛び出したその瞬間、記者たちはどうしたのだろう。すぐに問題点を指摘したのだろうか。暴露しない前提の下で営まれる、一種なれ合いもたれ合いの関係の中で、本当にジャーナリズムは健全性を保つことが出来るのだろうか。これがわたしの見る一つの大きな問題点である。
 もう一つ。先の経産大臣の発言や今回の防衛局長発言の、その品位などはともかくそれらが指し示す事柄が、本当に言語道断なのか、ということ。つまり、本当のことが口から滑り出してしまったのではないのか、ということ。言い換えれば、普天間を巡る問題で沖縄そのものを性的暴行を受ける女性と同一視したのは、単に局長の個人的な嗜好の故なのではなく、日本人、とりわけ為政者や官僚の本音そのものなのではないのか、ということだ。恐らくそれは間違いないだろう。
 本音を口にすると更迭される状態は、裏を返せば語られる全ては単なるきれい事か、若しくは劇場用に用意された脚本に過ぎないということだ。局長発言は確かに品位を疑わせる内容だが、では慎ましく品位を保った建て前が語り続けられることをわたしたちは望んでいるのか。そうではあるまい。
 本音はいつも不適切。ひょっとしてそれがこの国の真の姿なのか。