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No.246 命は鴻毛より軽し

 原子力損害賠償紛争審査会が6日に出した賠償指針は、自主避難した人に対し一人8万円、妊婦と18歳以下の子どもは40万円と定めた。対象となったのは23市町村。避難せずに対象地域に残った人にも同額が支払われる。対象者は150万人、約2,000億円に上るという。
 だが、これは実質的な被害・損害を積算した結果の数字ではなく、審査会が査定した金額だ。地域を行政区で線引きしたことも問題を生むだろう。放射性物質は県境を考慮などしない。
 なんともやりきれない重苦しさの中で、12月8日を迎えた。日米開戦の日である。230万といわれる日本軍の軍人・軍属・準軍属がアジア・太平洋戦争で亡くなった。だが、その大半がいわゆる交戦によって戦死したのではなく、餓死・戦病死だったといわれる(藤原彰著『餓死した英霊たち』より)。これだけ大量の悲惨な死を生んだ原因を藤原さんは「補給無視の作戦計画」「兵たん軽視の作戦指導」「作戦参謀の独善横暴」に見る。詳細な戦死者の分析から、餓死の運命は平等に軍人を襲ったわけではなく明確な階級差がついていたことを明らかにしたのだ。
 2011年の日米開戦の日、改めてこの国が未だに「補給無視の作戦計画」「兵たん軽視の作戦指導」「作戦参謀の独善横暴」を続けている気がしてならない。原子力発電がどれ程リスクに満ちているかは、例えば被害・損害を受けた人の詳細な被害・損害のリストとそれに基づく積算があって初めて明瞭になる。人命軽視の2,000億でおしまいにしてはこの事故から何も教訓を得なかったことになってしまう。もちろん、全てを補償するとしたら国がひっくり返るだろう。だが、たった4基(日本には54基もあるのだ!)が事故を起こしただけで国は経済的にも滅ぶのだと、今こそ学ばなければならないだろう。
 「カネがない」の言い訳は、現実をさらけ出してから言うべきだ。