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No.271 最低限の文化的生活

エッセイ「多摩川べりから」
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 生活保護の不正受給が問題だと騒がれている。芸人が名指しで糾弾されている。ワイドショーは挙って取り上げているのだが、なんだかヘンだぞ。  一番ヘンだと思ったのは、ワイドショーで「生活保護費は最低賃金より高い」という主題。ワイドショーとしては常套手段である街頭でのインタビューが流されるのだが、登場するほとんどの人は「それなら働かないで保護費を受け取る方が良い」と答え、画面に「不正受給への怒りの声」というコピーが貼り付けられていたりするのだ。  テレビが真実を報道すると素直に信じられる人ならば、街頭インタビューのごとく「働く者(=正直者)」が馬鹿を見るような現在の保護制度はおかしい」と腹を立てるのだろうか。だが、である。  怒りの向け先がヘンではないか?  例えば最低賃金が神奈川県は自給836円(東京は837円)だ。これに8時間掛けて20日で計算すると133,760円となる。生活保護費は状況にもよるが標準3人世帯(33歳、29歳、4歳)で23万円程らしい。生活保護は憲法25条『すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する』という社会権に根拠を置く。であれば、もっと本気で「働く者が馬鹿を見る」と怒らねばならないだろう。最低賃金が生活保護費より低いのであれば、働いていては「健康で文化的な最低限の生活」さえ営めないのだ、と。  だから、怒りの向け先は絶対に弱い方、保護費の受給者ではあり得ない。怒りは、国民に最低限の生活も営ませない者や、甘い汁を吸い続けている者らに対してまず向けられるべきなのだ。あの芸人を名指しした者たちは国会議員なのであって、税金で思いっきり特権(月100万円、領収書不要の文書通信交通滞在費、しかも非課税はそのごくごく一部)を欲しいままにしている輩ではないか。
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