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No.278 天網恢々

エッセイ「多摩川べりから」
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 エネルギー政策を巡る意見聴取会がもめている。  仙台と名古屋のそれぞれの会場で意見陳述した9名のうち2人ずつが電力会社関係者・原子力関係者だった。その発言も「個人の思い」と言いつつ会社の思想が見え隠れし、あるいは現実に被害者の感情を逆なですると非難され、「そもそも人選が」とか「広告代理店に丸投げ」との批判を浴びているのだ。  わたしもこのことをテレビのニュースで見た時、無性に腹が立った。だが、同時に「ちょっと待てよ」とも思ったのだった。  意見陳述は、30年後の総発電量に占める原子力発電の割合を0%、15%、20〜25%を妥当とするそれぞれ3名を「公平に」選んだらしい。だが、実際に応募してきた人数では圧倒的に0%が多かったという。そうなると「公平に」3人ずつは、実態を正しく現していないことになる上、そもそも分母の少ない15〜25%に入る(つまり原発は現状維持若しくは増設)選択肢から有利に選ばれる。電力会社関係者・原子力事業所関係者が入る間口はとても広いということだ。  ということは(ここからが「ちょっと待てよ」なのだが)、この国で原子力を現状維持若しくは増設したがっているのは、ほぼ電力会社原子力事業所以外に居ないということを、ひょっとしたら如実に現しちゃったのではないだろうか。これは「やらせだ」とか「インチキだ」とか叫ぶ前に、推進側(=原子力ムラ)の勇み足(=大チョンボ)か?。だから仕組んだ者たちは焦ってやり方を変えるし、それに対して身内(電事連)からは批判が出るし…。  普段「電力料金をお支払いくださっているお客様」だとか、「国民の皆様」だとかえらく腰を低く装うムラの面々の、ホンネは意外なところから顕わになるものなのだなぁ。「策士、策に溺れ」だとか「天網恢々、疎にして漏らさず」だとか、昔の人はまこと上手いことを言ったものだ。
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