ようこそ、川崎教会へ

No.284 久々の街で振り返る

エッセイ「多摩川べりから」
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 北海道の義弟が仕事で新宿・京王百貨店に出店しているというので、じつに○○年ぶりに新宿駅に降り立った。  神学生の頃、南口からすぐのところにある代々木中部教会に2年間お世話になった。日曜日の奉仕が終わると大抵西口に出て、当時の自分には聖地だった「新宿西口駅の前、カメラは○○カメラ」と歌われるを散策する。今でももちろん西口にその店はあるのだが、むしろ秋葉原店の方が巨大になって、歌も「新宿西口駅前と秋葉の○○カメラ」に変わってしまった。それでもかつてのように店の脇を通ると、独特な中国語や韓国語の店舗案内が流れていて懐かしかった。周辺はもっと猥雑な印象だったが、今では更に猥雑な街がいくらでもあって、むしろ人間味のある地域に思えたのが我ながら可笑しい。  西口地上に出ると右手は小田急、左手は京王の百貨店。正面には安田生命。それは変わらないのだが、その奥にモード学園のまるでロケットのようなビルが堂々と聳えている。西口地下通路(伝説のフォーク集会当時は「地下広場」だったが)もすっかり様変わりしていたし、なにより「副都心」と呼ばれていた地域が今では紛れもない「都心」になり、都庁が鎮座する変わり様だ。  この日新宿に出かけることは前から決めていたが、ではどう過ごすかがなかなか決まらなかった。あの頃は毎週日曜日当然のように出かけていたし、街に出ることが楽しみでもあったのに、一体どうしたことだろうと思った。だが、考えてみればほとんどの必要は川崎にいて十分に満たされてしまうのだ。もちろん街の空気や雰囲気はまるで違うわけだけれども、わざわざ出かけなくともまかなえるという環境が、「楽しみ」を変化させているのだろう。  品川で乗り換えると懐かしい駅を通る。恵比寿、渋谷、原宿…。どれも縁遠くなったのは、自分の年齢とも密接に関わっているのだろう。それは喜ぶべきことなのか、はたまた…。
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