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No.299 負けても負けないために

エッセイ「多摩川べりから」
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 こんなに選挙に気が重くなったのは今回が初めてだ。  インターネットの世界では「投票に行こう」「未来は自分たちの一票で」「今こそ考えて投票しないととんでもないことになる」という危機感が溢れているが、目にする新聞や、新聞に紐付けられたテレビは右寄りの政党の優位を「世論調査」として垂れ流す。それによれば憲法を変えたい勢力が優勢どころか圧勝に近いのだとか。投票させないための宣伝かと勘ぐってしまいそう。  先日浅草の聖ヨハネ教会で「平和」について考える黙想会を行った。選挙を目前にして参加者が「右側ばかりになってしまった」と嘆く。もちろんみんなが覚醒して世論調査とは違う結果が出たとしても、立候補者数で見てそれでも中道や革新勢力が政権を握ることは望めない。となると、ウルトラ右寄りの連立政権が誕生してしまう危険が極めて高い。社民党の福島党首は告示前からそのことに警鐘を鳴らしていたが、その割に候補者を立てきれない現実が、こういう形で危機を呼んでしまったのだ。  まだ今日が投票日で、開票結果が出るまでは諦めてはならない。それは重々知りつつしかし既に選挙後にどう戦うべきかをかなり腹を括って考えておかなければならない状況ではないか。平和憲法はもはや風前の灯火なのだから。  憲法遵守が「平和ボケ」だとは断じて思わない。だが、危機感がどこか絵空事だったことは率直に認めなければならないだろう。憲法を「変えよう」とするグループが「保守」と呼ばれるのは本来真逆でおかしなことだが、この国ではそんなおかしなことが60年以上も続いている。そしておかしなことをおかしいと感じる感性をどんどん失い続けている。危機感を現実のものにするには遅きに失しているかも知れない。だが、だからといって座して諦めるわけには行かないのだ。  この国の歴史は今、本当に曲がり角に立っている。
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