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No.313 振り返りのとき

 卒園児を無事送り出して一週間、幼稚園は3学期の振り返り。わずか10週間ほどしかない3学期だが、様々な企画が盛り込まれた中身の濃い──その分仕事量がハンパでない──季節を送ったのだ。しかも「年度末」。当然一年のすべてを振り返る気になるし、次年度への申し送りも迫られる。
 この「振り返り」で、「自己理解」の作業を通じてわたしは他者とは違うということに気づいた、それによって自分のことも受け入れられるようになった、という発言が聞かれた。数人がこの自己理解の作業を共にしていたので、受講した人たちが同じような感想を抱いたのだった。
 考えてみれば、わたしとあなたとは考え方も感じ方も違うのは当たり前のこと。だがどういうわけか自分の考えや意見は多数派であるという根拠のない思いをわたしたちは簡単に抱く。自分にどういう傾向があるのかを分析的に学び始めて初めて、他者との違いに気づき、違うということが豊かなことであることに気づき、そうして初めて受け入れがたい自分を受け入れられるようになるのだろう。なんとも手間のかかる、なんとも扱いにくいのが、他でもない「わたし」なのだ。腹が立つとかイライラするという感情は、良い保育者を目指そうとするときに否定されるべきものだと思い込んでいたという。だが、そういう感情を持つのも自分であるということを肯定的に捉えられるようになった、と。その感情もまた生きる力でありエネルギーなのだから。
 そういう言葉を伺いながら、「違い」を認められずむしろ排除することに躍起になっている宗教教団をわたしは憂えていた。「違い」を豊かさとして「良し」とデザインされた方の赦しがあって初めてわたしたちは生かされているというのに…。
 自分を知るために唯一残された「出会い」という糸口を、あろうことか封ずる者やその思想に、残念ながら未来はない。