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No.331 選挙の風吹き去って

エッセイ「多摩川べりから」
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 昨年12月、衆議院選挙で自民党が圧勝した時、わたし(たち)には大きな動揺が広がった。確かに事前の世論調査がその予測を出していたが、そもそも世論調査がどれだけ正答であるかも疑ってかかっていたし、それより何より、インターネットで集まってくる身近な情報では「自民党の圧勝は防ぎたい」という声ばかりだったから。  だが、考えてみればそれは当たり前だった。ネットの情報はだれでも発信も受信も出来るからこそ、様々な立場の声が比較的公正に(つまり一方的でなく)溢れていると信じていた。置かれている情報は確かにそうだが、それにアクセスするのはわたし自身であるということは、公正な情報にバイアスをかけて集めているのは他でもなくわたし自身だったのだ。当然自分の近くには自分の考えに近い意見だけが集まってくる。それをもって世の大多数の意見だと思ってしまったのは大きな勘違いだったのだ。  今回の参議院選挙でやはり自民党が圧勝した。事前から危機感を募らせる意見が前回と同じようにわたしの周りにはたくさん集まった。それらの意見と現実との乖離に、今回はそれほど動揺も驚きも感じなかった。衆議院選挙、東京都議会選挙の結果と今回との間で、劇的に変化する要素は見られなかった。いやむしろ、ますます野党が縮こまっていたことぐらいか。  世はこれまでと方向性を変えることを選ばなかった。さてでは、この結果を受けて「少しでも方向を変えよう」と願っていた者としてこれから何をするべきか。一見すると願いとは裏腹に見えるかも知れないが、わたしとしてはこれまでと同じことをこれからも続けてゆくしかない。世が同じ道を歩むならわたしも同じ道を──世とは違っても、別でも──歩み続けてゆくしかない。坦々と、坦々と。  静かにそんなことを思う夏休みの始まり。
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