エキサイトブログ


No.336 プロ中のプロ

 プロ野球東京ヤクルトスワローズの宮本慎也選手が今季限りで引退を表明した。守備のうまい、常に気を抜かない三塁手。他球団の若手とも惜しみなく自主トレを重ね、教えを受けた若手が次の年に大活躍する、指導者としての素質も有望な選手だった。「慎也よ導け日本一!」と応援歌で謳われるほど、選手からもファンからも信頼されていた。
 その引退会見で彼が口にした言葉は、「好きで始めた野球が、プロになった瞬間に仕事に変わった。よく『楽しむ』って言うけど、1回も楽しんだことはない」だった。そういえば米大リーグでヤンキースに電撃移籍したイチローも、ドキュメンタリー番組の中で「一度も楽しんだことはない」と言っていた。プロらしいプロ。その誇り、自負心。自らを追い込んで追い込んでプロとして立つ気迫を感じさせる言葉だ。
 イチロー39歳、慎也42歳。どちらも球界ではスーパースターだから、例えば現役を引退してもフロントで活躍する道もあるだろう。それでも早くて30歳、がんばっても40歳で現役を去るというサイクルは極めて短い。プロ野球は規則で1チームが支配下登録できる選手を70人までとしている。現在804人がプロとして野球をしているという。その中で成績を残しフロントとまではいかなくても野球関係で第2の人生を送ることが出来る人はごく僅かだろう。多くは別の道を歩むだろうし、その道の方が遙かに長い。なんとも過酷な世界である。しかも現役の間でさえもそれを「楽しむ」ことが出来ない、それが一流の証しなのだとしたら…。
 牧師も「専門職」の一類型だろう。無意味でつまらないプライドだけがやたら高く、そのくせ超甘っちょろい。なんとも鼻持ちならない一類型ではないか…、と宮本選手の引退会見を見聞きしながら、一人背中が汗ばんでいるのを隠しきれないでいた。