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No.341 世界は○○のために

エッセイ「多摩川べりから」
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 小学校に上がろうかという頃、「世界は二人のために」という歌が流行っていた。「二人のため〜世界はあるの〜」というやつ。まだ第二次性徴期前だったので、その歌の意味するところなど想像もつかなかったが、後に親類の結婚式に参列すると、赤ら顔した軍団が調子っぱずれで歌っているのに何度か遭遇した。確かに結婚披露宴などでもてはやされそうな歌詞ではある。  だが、青春時代には既に、その歌の別の意味での恐ろしさを漠然と感じていた。印象的な繰り返しが多用される歌でそれなりにロマンチックだが、リフレインとなるかの「二人のため世界はあるの」という断定(いや、ひょっとしてこれは疑問文なのか?)に、恐ろしく図々しいというか、めちゃくちゃわがままな雰囲気が感じられたのだ。歌っていた女性が明るい人だったから余計にそう思ったのかもしれない(暗い雰囲気の人だったら間違いなくあれは疑問文だと思ったに違いない)。  人生の折り返し点を遙かに過ぎて、思うに今はまさにこの歌の世界なのではないか。ただし、チョット歌詞をマイナーチェンジして。「大企業のため〜政治はあるの〜、資本家のため〜政治はあるの〜」。  年金はもともと水準が高かったのだとの理由でこれから段階的に下げられるという。消費税は8%、後に10%までは上げるという。3・11以後、個人の所得税には「復興税」が課せられているのに、企業の復興税は「前倒し」で終了するのだと。労働者のために賃上げしてくれたら、もっともっとご褒美を企業にはあげるらしい。  「在日外国人から特権を剥奪しろ」と叫びまくっている人たちに言いたい。君たちは何を見ているのだ。本当に「特権」を、好き放題に、恐ろしく図々しく、めちゃくちゃわがままに貪っているのはいったい誰だ。  世界は誰のもの? 誰のためのもの?
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