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No.352 おかげさま、ですか?

エッセイ「多摩川べりから」
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 世の中アベノミクスの効果が現れ始めて、冬のボーナスが例年より多いところが増えているという。テレビが盛んにそんなことを伝えているのだが、その取り上げ方がなんとも…。
 景気が良くなったことの表れだとその番組が取り上げたのは、例えば一皿2貫105円の回転寿司屋で、1貫盛り178円の皿が良く出るようになったとか、1パック200円盛りのシュウマイより大ぶりな1パック300円のシュウマイの方が良く売れるようになった、と。これがニュースを扱う夕方のワイドショーや夜のニュース番組の中で真面目に取り上げられているのだ。
 景気が良くなることはたぶん世の中にとって良いことなのだろう。だがその例証として105円より178円、200円より300円が良く出ることがアベノミクスだという取り上げ方が、なんだか無性に腹が立つ。
 庶民はいつだって自分の生活を守ろうとする。その努力の中で、いつもより少しがんばったり、少し我慢したりして、生きている幸せを小さなことで実感するものだ。時の政府が何をしようが、100歩譲って(譲ってもあり得ないことだが)どれだけ国民のために働こうが、別にそのことが一人の人間の暮らしに直結しているとは思わないし、思わなくても生きていける。自分の人生のリスクは十分背負っているのだ。そのいわば慎ましさまで「アベノミクスのおかげだろう」みたいな言われ方をすることに、無性に腹が立つ。
 100円2貫の皿でなく178円1貫の皿を取るのはわたしの自由だ。安倍政権のおかげなどでは断じてない。そんなことで恩を売られる覚えはない。むしろ、「絶対安価で安全だ」とあれだけ言い続けた原発の事故処理一つまともに出来ないやつが、風向き一つでどうにでも代わり得る経済で手柄を我がことのように吹聴する、その浅はかさが露呈しただけではないか。
 年末年始はご挨拶の季節。だがアベノミクスに言うお愛想はない、絶対。
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