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No.382 思い出になるまでに

エッセイ「多摩川べりから」
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 林間保育が終わって、それぞれのご家庭から感想が届いている。
 先日ある幼稚園職員と話をしていたら、その幼稚園のお泊まり保育は4泊5日で佐渡まで行くという。幼稚園のある町田からロマンスカーで新宿、中央線で東京、新幹線で新潟。そこにいつもの幼稚園バスが待っていて、フェリーでバスごと佐渡へ。2日は往復の移動にかけるという。
 それはそれは驚いたのだが、実は幼稚園や保育園によってさまざまな取り組みが、特徴をもって行われているのが事実。それぞれにめあてや期待される効果などが込められている。
 寄せられた感想を読むのもまた楽しい。中には「この子との20年後を想像して、このさびしさを覚えておきたい」というものもあった。「行けるだろうか、イヤだと言わないだろうか」という不安を味わいながら、それを乗り越えて自信に溢れて帰ってきた我が子を、頼もしく逞しく思いつつも、一方で感じる寂しさ。その寂しさは、20年もすればこの子は親の元を離れていく、たった一晩の異様な静けさが日常となる日はそんなに遠くない、そんな思いをよぎらせるからだろう。
 一緒にいる20年は短い。ましてやべたべたとまとわりついてくる時間はさらにさらに短いのだ。それは今しか手に入れることのできない貴重な貴重な時間。そう思ってくださった方がたくさんいらした。素敵なことだ。
 だが一方、20年はそれなりに長くもある。日々の煩わしさもそれなりに積み重なるに十分な時間だ。この感動がウソのように思われる時も来るだろう。だからこそ覚えていて欲しい。確かに、感動を覚えた時間があったのだ。
 ある夕ご飯の時に、子どもたちの小さかった時のエピソードが話題になった。思い出は、帳を破るように突然ありありとした臨場感をもって甦る。だから、たくさんため込んでおこう。それができるうちに。
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