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No.396 ブレーキ

 あんまり目立たないニュースを一つ。国土交通省が、車の衝突回避や被害軽減システムとして搭載しているいわゆる「自動ブレーキ」の性能について8メーカー26車種の「予防安全性能アセスメント試験結果」を発表したらしい。
 一口に「自動ブレーキ」システムと言っても、現状では概ね3つの方式が採用されているという。「ミリ波レーダー」「レーザーレーダー」「カメラ」。それぞれに特徴があり苦手な分野もある。車種によっては複合的に採用されている高級車などもある。そそもそも装置も違う、使用制限もないという無差別級の対戦状態を点数付けするということはかなりの荒技。単純な点数評価は難しいのではないかと思うのだが。
 ここでは敢えてどの車が高得点だったかは記さない。まだまだ始まったばかりの技術だから、今回の得点が今後もその順位を不動のものとして維持し続けるとは限らないだろう。また、3つの方式以外にも基礎的な技術の向上や思わぬ新素材の登場があるやも知れない。「近未来を今」とか「未来はもう始まっている」というようなCMが流れる、なかなか興味惹かれる分野だ。
 だが、メーカーもまさにそのCMの中で小さい文字を大量に、しかも一瞬だけ読ませる場面がある。それは「自動ブレーキはあくまで補助であって、事故を確実に回避する装置ではない。運転者の判断こそ大事だ」という内容。つまりこの装置がありながら事故を起こしたとしても、第一義的な責任は運転者にあると言っている。当然だ。装置を過信して注意を怠って事故を起こしたとしても、それは不注意によるのであって装置のせいでは──少なくとも第一義的には──ない。仮に事故を起こしてメーカーの責任を問う人が多数出たら、安全技術の進歩は止まってしまうだろう。
 ところがこの国は、他罰的傾向に急激に傾いている殺伐とした世相の中。この世相が、この分野の進歩にとって「急ブレーキ」になりかねないかも。