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No.417 役得、役得

エッセイ「多摩川べりから」
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 教区社会委員会の第12回教区平和フェスタで、午後の部が始まり、ジャーナリストの安田浩一さんの講演を聴こうと100名を超える聴衆が礼拝堂に詰めかけ、熱気の中お話しが始まった頃、階段を上ってくるかわいらしい少女がいた。
 わたしの顔を見つけて緊張が解け「園長!」と声を上げる。就任して2年目に卒園生として送り出した三人の女の子が、今日小学校の卒業式を終えて、幼稚園に挨拶に来てくれたのだ。残念ながら先生たちは今日完全休業で──それだからこそ教区の集会を受け入れることが出来たのだが──園長ひとりじゃさぞつまらないだろうと思ったが、それでも構わないから一緒に写真を写そうと言ってくれる。嬉しいじゃないですか。
 それぞれスマートフォンやタブレットを取り出して、思い思いに互いを写しあったり、園庭の懐かしいところを撮影したり、背は伸び大人びた盛装姿だが、それでもどこか初めて会った時の年中さんのまんまの表情を見せながら撮影会に興ずる三人としばしお付きあいした。
 昨年小学校を卒業した人たちは、わたしがここで最初に送り出した学年。だからそれ以後小学生はみんな関係者になる。今思えば23年前に岩手県・遠野の幼稚園を卒園した人たちはもう間もなく30歳になるのだ。みんなそれなりに幸せに暮らしていてくれたら充分だなぁ。元気にしているだろうか。頭の中に浮かぶのはいつまでもあの頃の顔ばかりなのだが…。
 晴れ姿を見せたくてわざわざ自転車をこいで来てくれた三人娘。これからも遊びに来るねと言って、元気に帰って行った。園長のスマホに写った画像は、お休み中の関係ある先生たちにメールを送った。朝は雨が降りしきったが午後ようやく春の日差しが少しだけ戻ってきた。だが日差し以上に暖かい一瞬。こんな役得もあるのだなぁ。
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