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No.421 無人の競技場で

エッセイ「多摩川べりから」
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 天候不順な春、雨が続き、幼稚園の子どもたちも外で遊べないのが残念でたまらない様子の新年度スタートだった。怒濤の一週間が過ぎて、少しずつ子どもたちの心の中に「幼稚園」が認知されはじめてきている。
 久々に気持ちよいお天気となった木曜日、朝打合せを終えて神学校の授業に出かけた。昼頃は半袖でも構わないほど気持ちよい天気。たまたま一本早いバスに乗り込めたので、畑の様子でも見に行こうと思ったが、そうだ、まだ足を踏み入れたことのない野津田公園に降りてみようと思い立った。
 30年前、学生だった頃、野津田の山は桑畑が広がる里山の長閑な風景だった。ここに公園開発の計画が持ち上がっていたのだが、里山をブルドーザーで壊して進められる公園計画に、学校としても学生会としても反対してきていたのだが、そんなことは感じさせないほど長閑だった。しかし在学中一部区域で工事が始まった。それでも石灰ガラを敷き詰めた簡素な多目的広場だけだった。それが今や日本陸上競技連盟公認第3種陸上競技場、および、Jリーグ(J2)基準を満たすスタジアム、サッカーJ3町田ゼルビアのホームグラウンドでもある町田市立陸上競技場を有する大きな運動公園となっている。そのメインスタンドが神学校から歩いて二分ほどなのだ。
 良いお天気だが公園には人影もない。立ち入って良いのかどうか躊躇われるほど。お構いなしにフェンスの向こう側の母校を眺めつつ、しばしの散策としゃれ込んだが、人影のない巨大建造物は健康的な彩りにもかかわらず、なんだか不気味に見えて、思わず身震いした。やっちまったものはしかたがない。だがどうぞ無駄にしないでね、と心の中でつぶやいて。
 都立野津田高校の擁壁にたくさんある排水管は、雀たちのマンション。春はつがいの季節で巣作りに励んでいるのだろう。30年前の景色と変わらない。それで充分癒されるんだけどなぁ。
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