ようこそ、川崎教会へ

No.428 東口の淋しさ一入

エッセイ「多摩川べりから」
元のサイトで完全版を読む
 川崎駅東口すぐ前の一等地に59年間営業を続けた「さいか屋」が5月31日閉店の日を迎えた。たまたま所用があって閉店時刻頃に正面玄関前を通ったが、大勢の見物人が比較的広い歩道を埋め尽くし、係員が車道に立って歩行者を誘導していた。どうやら閉店のセレモニーがあるらしいのだが、人混みの多さと逼迫した用事のために、後ろ髪引かれつつその場をあとにした。
 百貨店の閉店など、テレビで見るよそ事に過ぎなかったが、こんなにも身近なところで実際に直面するとは思わなかった。「閉店のシャッターが降りるとき社長なんかがみんなに頭下げたりするのかな」などと、まぁ完全に野次馬と化した我が家の会話が、その日、目の前で現実のものになった。
 デパートにはほとんど縁のない生活だろうと思っていたが、実はそうでもなかった。ちょっとした進物は幼稚園の日常でとても大事だが、その殆どがさいか屋だった。行事の度に世話になったお弁当屋さんもある。教師の慰労会も年何度かはテナントのレストランを使った。教会ではペンテコステの鳩サブレ、幼児祝福式の祝い品etc…。数えてみればずいぶんとお世話になっていた。「なくなって、初めて分かる利便性(おっと、5−7−5だな)」。さいか屋さん、ありがとうございました。
 閉店セレモニー直後に、スタンバイしていたらしい職人さんたちが、閉まったシャッターのシンボルマークを塗りつぶし始めた。翌朝にはかつてのマークが白く塗り直されていて、却ってさびしさが目立つ。搬入口は搬出ラッシュ。「撤退」の淋しい現実があたりに漂っている。折しも地下街アゼリアがリニューアル工事中でおよそ半分が閉鎖されている。もちろん夏にはオープンするのだが、妙にさいか屋の閉店と重なって、駅東口はひっそり感が増してしまった。
 さて、閉店後の跡地利用については確かな情報は皆目なくて噂ばかりが飛び交っていたが、それも一点に絞られ始めた。考えさせられてしまうなぁ。
もっと見る