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No.438 常磐自動車道を行く

エッセイ「多摩川べりから」
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 帰省先の秋田から足を伸ばして仙台へ、そこからさらに石巻へと向かった。一昨年新生会教師会が仙台であったときに訪ねた日和山からの風景が気になって、今回もまた日和山にのぼった。今回は沿岸の工場地帯から山に向かったが、あの時眼下に広がった真っ平らな風景のど真ん中を通ったことになる。ちょうど迎え盆の日で、時折雨足が強まる中、山の上では慰霊祭がおこなわれていた。
 川崎へは3月に全線開通したばかりの常磐道を使うことにした。少し覚悟がいった。NEXCO東日本のホームページでは、常磐道を通過した際に運転手などが受ける被曝線量が書かれているし、当然ながら帰還困難区域も通過する。フクイチからは最短で4キロほどのところを通るのだ。あちこちに空間線量を告知する電光掲示板が設置されている。その中を時折強まる雨脚を気にしながら走った。
 帰還困難地域は、緑に覆われていた。普通に民家が建ち並んでいるのだが──しかもまだ新しい家屋敷も散見されたのだが──庭と言え隣地との堺と言えすべてが緑に覆い尽くされ、背の高いアワダチソウがつんつんと立って遠目にも目立っている。スタジオジブリの映画「風の谷のナウシカ」の腐海の風景を思い起こした。
 核分裂生成物質という反自然物質に覆われてしまった大地を、それに痛めつけられながらも覆い尽くす自然の力。人間もまた自然の一部に過ぎないものを、英知を謳歌した挙げ句自らの知恵では制御さえ出来ないモンスターに蹂躙された。しかし自然の力はそのこざかしい人間も、人間が生み出してしまったモンスターも飲み込んでしまった。そんな風景が脳裏に浮かんできた。
 われわれはこの面前の風景から何かを必ず学ばなければならない。大地を汚しきった責任はわたしたちにあるのだ。
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