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No.467 お祭り火曜日

エッセイ「多摩川べりから」
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 アメリカの大統領選挙候補者として、当初泡沫候補扱いだったトランプ氏がスーパーチューズディを制して、このまま行けば共和党候補となりそうな展開だ。彼のスピーチは細切れにこの国でも紹介されていて、そのどれも時には人格を疑わせるものだったりするのだが、ではなぜ米国であれほど人気を博し、確実に得票数を得ているのだろう。この辺のことがなかなかわからない。テレビも新聞も、そのことの核心は伝え切れていない気がする。
 そんな中で、トランプ氏が実は「リアリスト」だという論評があった。
 例えばトランプ氏は「イラクのフセインやリビアのカダフィがいた方が中東は安定していた」と発言している。つまり、強い指導者が率いる国は、それ自体民主的ではないとしても、安定的に成長出来るのであれば評価できるという発想だ。「民主化」を押しつけて開戦した21世紀の戦争が、決して平和をつくり出しては来ないばかりか、圧倒的に難しい局面を開きつつあることは誰にでもわかる。民主化は望ましいが総ての切り札ではないかもしれないということだろうか。
 海賊がソマリア沖で猛威を振るっている中、すしざんまいの木村社長はソマリア漁民にマグロ漁を教え、水揚げされたマグロを買い取ることで、彼らが海賊である必要がなくなり被害がゼロになったという。生活ができないから海賊になった。生活ができれば海賊でいる必要はない。それは誰の目にも良くわかる理屈だ。武力で鎮圧するよりも効果が高く、そして長く続くだろうことも、誰の目にも明らかだ。それを実現する者は確かに「リアリスト」だ。
 わたしたちの国は「とにかく経済」だという。その割にこういったリアリストがどういうわけか優勢にはならない。威勢のよい声の方にだけ分がある。
 品のないことだけが強調されるトランプ氏だが、彼が大統領になったら米国は、そして世界はどうなるだろう。ちょっとそれも見て見たい気になった。
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