ようこそ、川崎教会へ

No.469 巣立ちの季節

エッセイ「多摩川べりから」
元のサイトで完全版を読む
 卒業の季節、あちこちで晴れやかな顔をした子どもたちや若者たちに出会う。みんな希望に満ちあふれたステキな顔をしている。川崎頌和幼稚園は15日に44名を送り出した。昨日19日は川崎小学校の卒業式。少年・少女の顔に成長した我が園の卒園生をはじめ86名が卒業した。
 小学校卒業式の恒例は、卒業する6年生と在校する5年生がそれぞれ挨拶の言葉を交わし歌のプレゼントを行う「別れのことば」。この中で学校のバトンが卒業生から在校生に手渡される。「後は任せた」「後はおまかせ」という空気が会場にみなぎる瞬間だ。
 その「別れのことば」の中で、卒業生が同級生にこんなことばをかけた。「生きてゆこう」。すると全員がそれに応えて「生きてゆこう」と返した。ドキッとした。
 晴れの舞台、皆が希望を胸に学舎を後にするこの日。どの顔も晴れやかに見えるが、しかし本当にそうだろうか。単に未知の領域に踏み込む不安だけでなく、ひょっとしたら「生きていく」そのこと自体に対する不安を抱える人もいるかも知れない。「みんな」とひとくくりにできないかも知れない現実世界の厳しさが──この小学校にあるかどうかはともかく──「生きていこう」のことばに呼び起こされた気がして、きっとドキッとしたのだ。
 先日「フードバンクかわさき」が、県全体に支援の輪を広げるために「フードバンクかながわ」の設立準備を始めたといいう記事を目にした。希望のない社会は他人事ではないのだ。
 「相対的貧困率」が16.1%に達するというこの時代に送り出される子どもたちの、だから未来が少しでも明るいものであるように、希望を持つことが出来るように、心から祈りたいと思った。同時に、大人たちが子どもの未来を奪ってはいけない、貪ってはいけないと改めて胸に刻んだ。
もっと見る