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No.481 電車の中で思ったこと

エッセイ「多摩川べりから」
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 先日所用で久しぶりに電車に乗った。武蔵小杉までの往復。小杉駅に降り立つのはいつも北口なのだが、今回は南口へ。新しい商業施設が出来上がってずいぶん風景が変わってしまい、一瞬道に迷った。
 川崎に帰るために南武線の一番後ろの車両に乗った。席が空いていたので座った隣に小学校3〜4年生ぐらいの女の子とそのお母さんとおぼしき人が座っている。二人の表情がとっても明るくて華やいでいたのが印象的だった。女の子は耳に補聴器をつけていて、お母さんと手話でやりとりしている。お母さんの言葉を手がかりに女の子が言っていることもなんとなくわかる。ホンの5駅ほどの間、時に車内ドアの上にある動画モニターを見ながら、明るく華やいだ表情で会話が続いていた。
 ちょうど小児科医の田澤雄作さんのお話しを聞いた後で、田澤さん他4名の方のセミナー講演録「いま、子どもたちがあぶない!」(古今社2006年)を読んでいた(その車内でも)ところだったので、この親子が表情豊かに顔を見合ってお話ししている姿が、特別鮮やかに見えたのかも知れない。
 以前からNHK手話ニュースのキャスターの皆さんがとても表情豊かにニュースを伝えているのをステキだなと思っていた。「手話だけだと、『(手話での)言葉はわかるが話がわからない』ということになる。自分の思いを伝えるために表情はとても大事です」と、キャスターの田中清さんは仰る
 これはキャスターとしての心得ではなく、人としてのありようなのではないかと思った。田澤先生は、「表情があることが人間だ。それが前頭葉の働き。それがない蛇や蛙とは違う」と仰ったが、さて今、自分に表情があるだろうか、人間らしい表情をもっているだろうか。メデイアに囲まれてどっぷり浸かりながら暮らしている自分を、ひとつ客観視してみなければなぁ。
 あの親子の姿を、忘れずに覚えておこう。
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