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No.485 昨日と同じ今日はない

エッセイ「多摩川べりから」
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 夏の全国高校野球選手権地方大会が各地で始まった。大阪大会では開会式リハーサルが8日に行われたが、春夏全国制覇7回を数えるPL学園は一人故障者が出て実質10人でこの大会に臨むこととなったらしい
 甲子園のアルプススタンドに巨大な人文字をつくる独特の応援が印象的だったPL学園。現役プロ選手も多数輩出している名門校。だがここ数年は新入部員の受入を停止していて、この夏の大会を最後に休部が決まっている。
 MLB・ロサンゼルス・ドジャースで活躍している元広島カープの前田健太投手は昨年新聞のインタビューで「(高校3年間を振り返れば)99%つらい思い出」と言いながら、しかし思い出話が次々と飛び出したという。そこには「甲子園出場は当たり前、全国大会でいかに勝つか常に求められる」空気の中で過ごす日々の過酷さが現れていた。勝たなければならない重圧を、日本一と言われた練習量でぬぐい去る日々。そうして生まれ保たれてきたのが「常勝PL」の伝統だったのだ。その名門校野球部の歴史が幕を閉じる。
 栄枯盛衰かはたまた盛者必衰なのか。事柄がその状態のまま永遠に続くということなどないのだと、これまたわかりきったことかも知れないが、あのPL野球が見られなくなることが現実となる淋しさは拭えない。もちろん新しい学校がたくさん起こされて、新しい伝統が生まれるものではあるのだが。
 この一瞬一瞬が歴史になり、その連続が伝統になるということ。なかなかそれを想像できないし、想像できたとしても緊張感を持って続けることはかなり難しい。当たり前のように明日が来るのではないことを5年前痛感したのに、わずか5年ですっかり切迫感は消え去ってしまった。緊張の連続には耐えられないのが自分なのだとつくづく思わされる。
 昨日と同じ今日ではない。今日と同じ明日ではない。長続きできないのだから、ちょっとしたことで思い起こすチャンスをあちこちに持っとこ。
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