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No.486 必死に検索した夜

エッセイ「多摩川べりから」
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 パソコン仕事用に机の横にメガネを置いてある。いわゆるブルーライトを軽減してくれるPCグラス。いつも首からぶら下げているのとは別物。
 ある日、そのPCグラスをかけて机を離れ、別のところでも使った。そして自分に言い聞かせた。「ここで使ってしまって、元の場所に戻しておかないと、あとできっと“見つからない”といって探すハメになるよなぁ」。そう言い聞かせてどこかにメガネを置いた。その日以来、そのメガネが見つからない。
 年を重ねると、こんなことはいわゆる“あるある”ネタかも知れない。だが確かに自分に言い聞かせている。「こんなことしちゃダメだよ」と。そして自分に言い聞かせたとおりになった。分かっていたことではないか。
 「いやいや、だからそれが年を重ねたということさ」と自嘲する気持ちももちろんあるのだが、それ以上に、つまり人は思いがけず不可解な行動をとるものなのかも知れないと思ったりもするのだ。
 「EUなんて離脱した方が良いよね! かっこいいじゃん!」ていう程度だったのに、本当にそうなっちゃった。慌てて人々はGoogleで「EUって何?」と検索を始めたらしい。イギリス人ってヘンなの、と本気でバカにし始めていたのだ。だが、改憲勢力が2/3を超えたらヤバいことになると、そんなことわかっていたことだったのに、でもわりとあっさりそうなってしまった。ひょっとしてこの国でもあの夜Googleで必死に「2/3って何?」と検索したのかな?
 分かりきっているからといって、自明だといって、だからその通りにするとは限らないのが人間ということか。理性が与えられているのは事実かも知れないが、人はいつでもその理性を有効に用いるわけではないのだな。
 さて、そういう結果になったことを受けて、ではわたしはこれから何をしようか。どうしようか。出遅れたには違いないが、まだまだやることはある。
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