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No.499 秋の日の強いられる緊張Part1

エッセイ「多摩川べりから」
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 この季節、幼稚園の経営側にとっては緊張が走る日がある。
 10月15日は次年度の入園願書配布日。出る枚数が幼稚園の人気のバロメーターというわけではないが、幼稚園が他者にしっかり理解してもらっているかどうかは、やはりここの数字が一番よく現しているのだろう。そういう意味ではいい加減としか思えない「第三者評価」などより端的に、そしてダイレクトに経営側に(わたしこう見えて蚤の心臓!)響いてくる数字でもある。
 例年この日は深夜から玄関前に列が出来ていた。そのことが頌和幼稚園の(悪しき)評判でもあった。繁華街にある幼稚園なので、深夜の安全は保証できない上に、周辺にも迷惑がかかったりする。だから明け方前には並ぶなと何度お願いしてもなかなか効果がなかった。だが今年は「午前6時」と時間を明示したことと、説明会を聞いてくれた人たちの協力によって、迷惑行列はなくなった。ただそれだけでも今日が晴れやかな気分になる。
 このエッセイは、川崎教会のブログに掲載される。年間を通してこれまでの記事の中でよく読まれているのが「なんだかなぁ、ショックだなぁ」と題した2008年11月の記事だ。入園面接の日にキャンセルが複数あったことでちょっと嘆いていると記したもの。その中に「幼稚園の入園が厳しくなっている川崎の現状で、親たちが考える最善の方法と、幼稚園の善意とが、もののみごとにすれ違っていることを示している」と書いてある。
 このすれ違いをどれだけ吸収し、双方にとって誤解のない関係を築けるのか、しかも入園前のお互いに全く知らない間柄で…ということが毎年の悩みのタネなのだ。相手を思いやりつつこちらのことも十分に理解してもらうという、ほとんど奇跡的なことに、実は毎年挑んでいるわけである。
 それだからこそ、「ただそれだけでも今日が晴れやかな気分になる」という、やや大げさな感情表現に至る理由があるのだ。
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