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No.503 バラエティ番組

エッセイ「多摩川べりから」
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 アメリカ大統領選挙の結末に、大げさだが世界が騒然としている。
 「日米関係は日本外交の基軸」だと言われる。新聞もテレビも、だからトランプ大統領になると日本はどうなるか、という設定で話題が進む。まぁ、そうなのかも知れないけど。この国の大半の人はアメリカとの関係なんて関係なく過ごしているのではないのか。挙げればここそこに関係なしとは言い切れないものもあるかも知れないが、少なくともわたしの生活感覚から言えば、わたしの生活にとって基軸でもなんでもない。
 テレビ各局がまるで国政選挙か統一地方選挙のように特番を組んで逐一状況を報道するその様はどうだ。それ以外に重大なニュースは本当にないのか?
 トランプ氏が、いい大人なら慎ましく口にしないこと──でも言いたくてたまらないこと──を臆面もなく公共の場で発言するものだから、それを聞いてスカッとする人は米国人だけでなく世界中にいたのかも知れない。もちろん彼の発言で思いっきり傷ついた人たちも同じく大勢いたに違いない。
 「口に出来ないことを言ってくれるから」という理由、なんだかあちこちで身近に聞かされてきたような気がする。演説という文化が根付いていないこの国では、憚られることを口にすることで人気を得ようとする者が後を絶たない。ネットの世界ではなおさら。
 泥仕合の果てで──だからどうしたって責任はあるのだが──敗戦の弁を語ったヒラリーさんの言葉は、唯一キラキラと輝いていた。「(若い人へ)あなたたちも、勝つこともあれば負けることもあるでしょう。負けることは辛い。でも決して、信じることをやめないでください。正しいことのために戦うことは価値のあることです。」。「最も高い『ガラスの天井』を打ち破ることはできませんでした。でもいつか誰かが打ち破るでしょう。案外すぐに!。」。
 まだわたしたちには夢見る世界がある。そして夢見ることをやめない。
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