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No.509 生き残ることの意味 終章

エッセイ「多摩川べりから」
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 国はついにギャンブルで国家再興を謀ることにしたらしい。IR法案(いわゆるギャンブル法案)が可決した
 戦争のための武器はこれまで原則輸出禁止だった(武器輸出三原則)が、国家安全保障会議(!)でこれが「防衛装備移転三原則」に取って代わった。「移転」なんてあやふやな表現こそみっともないと思われるのだが、これで武器の開発に国際協力できる、どんどん造ってどんどん価格を下げて堂々使おうとしているのは「移転」というごまかしが証明している。そのための研究をする大学は優遇してあげよう。文化系学部なんて廃止廃止!
 武器がそうなりゃ、軍事基地だってどんどん新鋭高機能化しなきゃね。新型輸送(!)機なんてどれだけ墜落しようとも「着水」なのだ。だから残骸を撤去して記念写真撮ったらすぐ次を飛ばす。そのためには原野なんか焼き払って(どうせ収益性が低いんだ)新しい基地を造るぞ。原発だってどんどん再開するぞ。国内でどれだけギャンブル依存症が流行ろうが、大金をスッちまう人間がどんどん増えれば増えるだけ、国家はどんどん美しくなるぞよ。
 ──生き残るために何を選択するのか。この国はまるでマンガのように坂道を転げだした。そして教会はその国家のチビた集団。「生き残るために」という殺し文句を使うやり方までそっくり。だが、心が苛まれると勇ましいかけ声だけが唯一の救いに見えてくる。そしていつしか…。
 クリスマスの物語の中に、勇ましいかけ声は見当たらない。号令も一糸乱れぬ軍靴の音も、雑沓さえも聞こえない。弱く小さい者たちのつかの間の奇跡が、ただ静かに、そこにあり続けている。
 この物語を後世に伝えようとした者たちの心を忘れてはならない。それは今、この時故に、さらに重さを増してきているように思える。
 わたしたちが生き残るべき向きは、小さな小さな星の光が必ず指し示す。
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