ようこそ、川崎教会へ

No.511 正月の風景

エッセイ「多摩川べりから」
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 川崎教会はJR川崎駅東口の繁華街の裏にある。たくさんの飲食店と映画館がイタリア風の街並みをつくっている。早朝はさすがに2つのコンビニと1つのファミレスだけ24時間営業なので開いているが、あの名だたるコーヒーショップも開店前。出勤の人もまばらで我が家の犬の格好の散歩コースだ。
 時折そのファミレスも店舗の掃除で深夜営業を休業する。「どうやって衛生を保っているのかなぁ」と不思議に思っていたが、ようやく謎が解けた。そして、自分が寝ている間に働いている人たちが多数いることによってようやく都会は成り立っているのだと改めて思わされたのだった。
 そのファミレス業界に少し異変が起こっている。24時間営業店舗が減少しているのだ。ロイヤルホストやすかいらーくが深夜営業の縮小を発表した。年明け恒例行事である百貨店の初売りにも微妙に変化が訪れた。正月2日が初売りの定番なのだが伊勢丹・三越が1月2日の休業を決定したという。
 いつの頃からか百貨店やスーパーは休まなくなった。川崎駅周辺にも多数お店があるのだが、早いところは元日から初売りをしている。実は百貨店などの休業日数には規制があったのだそうだが、1995年にその一部が緩和され多くの百貨店やスーパーは365日営業する道に突き進んだらしい。もう20年以上そういう風景が広がっていたのか。だがそれも圧倒的な人手不足が要因で、変化を余儀なくされるのだ。
 働く人が幸せになることこそ、労働の意味だろう。だが経済や利益が優先されて、その分なんだか労働者は顧みられなくなった。そして労働者であるわたしは「便利な世の中」と思い、歓迎し、疑問すら持たなかった。
 大晦日の夜から三が日はかまどに火を入れない、財布を開かないという風習があった。そこから正月の様々な風景が生まれた。それを壊して「美しい日本」ができるのだろうか。
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