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No.519 春の風物詩

エッセイ「多摩川べりから」
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 おひな祭りの頃、幼稚園には「お別れ会」が組まれている。
 年少組はビン人形を、年中組はランチョンマットをそれぞれ時間をかけて制作し、意中の年長組の「あの人」にプレゼントする。年長は学年で制作した「何か」を幼稚園にプレゼントしてくれる。さらに先日行われた「小さな音楽会」で披露した歌を、それぞれが歌ってプレゼントし合う。それが終わるとパーティ会場に設営された幼稚園の2階に縦割りグループごとに座り、係のお母さんたちが飾りつけてくれた華やかなお部屋でお弁当をいただく。テーブルにはお土産のおやつも用意されている。
 今年は卒園する学年の人数が多くて、例えば年少で制作するビン人形を一人が2つ作る子どもが多くなった。人数あわせの都合で今年は園長も一体いただいた。ビンにペンキで下色を塗り、紙粘土でつくったかしらを載せ、毛糸で髪の毛を、布きれで着物を貼り付け、お母さんお下がりの様々なアクセサリーをポイントで飾りつける。とても手の込んだ人形。3〜4歳の子どもの集中力を鑑みると、かなりの大作だ。それを、緊張を切らさずに2体つくるとなると、それこそ「良くやった!」と思わされる。
 年中のランチョンマットにしてもそうだ。ある大きさに切られた布に思い思いに絵を描く。意中の人に向けた様々なイメージがそこにちりばめられている。そしてやはりそれを2枚書き上げる集中力に脱帽する。
 そういった大作に取り組めるようになるために、一年という期間が必要なのだということ。保育は行事のためにあるのではない。だが、一日一日の積み重ねがなければ行事は出来得ない。その不可逆性こそ保育の醍醐味なのだろう。ただ園長として端で見ているだけなのが申し訳ないのだが。
 確実に日々を重ね、自信をつけた子どもたちが、それぞれ次の一歩をもうじき踏み出すのだなぁ。
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