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No.522 競争する保育施設って?

エッセイ「多摩川べりから」
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 兵庫県姫路市の認定こども園で、子どもに出される給食が異常に少量だったことから始まって様々に驚くべき保育実態が暴かれている。
 この報道のなかで「ひどい施設が生き延びられるというのは競争がないからだ、施設をたくさんつくって施設同士で競争させることが肝心だ」というコメントが上がっていた。またか、とうんざりなまとめぶりにもはや反論もばからしいのだが、幼稚園経営者としてやはり一言釘を刺したい。
 子どもに向かってなされるべきサービスとは一体何だろう。サービス競争というのをどのようにイメージしているのだろう。資本主義の下でなされる競争で一番イメージしやすいのは価格競争。同じサービス内容なら安い方を、同じ価格ならお得なサービスがついている方を、というのが価格競争。中味で勝負してくれれば価格は高くても良い、というニーズは保育・教育施設の場合なかなかないのではないか。まして、問題になっている施設は認定こども園。子どもたちは大人たちが働きに出るために預けられているのだ。質が良ければそれなりに高くても良いとはほぼ絶対ならないだろう。
 しかも認定こども園であれば保育料は自治体の定める公定価格に縛られる。どの施設でも保育料は一定ということ。値段による競争は一方通行にならざるを得ないわけだ。そういう条件のなかで競争をするとなれば当然、働く者たちにそのしわ寄せが押し寄せることは誰が見ても明らかになる。そういう競争がどんな状況をもたらすのか、少なくともテレビでコメントする人間なのだ、想像できないでは済まされまい。或いは想像もしなかったとしたらそれはもはや故意による悪意と言わざるを得ない。
 子どもをどこかに預けて、長時間共働きして、それでも暮らしが成り立たないという社会がおかしいとは思わないのか。そこに切り込むことこそ子どもに向かってなされるべきまず最初のサービス、いや責任ではないか。
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