ようこそ、川崎教会へ

No.558 Out of sight, out of mind.

エッセイ「多摩川べりから」
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 JR川崎駅を東口に降りると、大きな通りに二面を接する「さいかや川崎店」があった。地下1階、地上8階建て。多少古びてはいるが、川崎市の顔と呼んでさしつかえのない百貨店だった。
 川崎教会への赴任が決まり、さまざまな手はずを整え始めた頃訪れた川崎駅は、西口方面へのデッキが途中で遮蔽膜を下げていて、唯一ミューザ川崎シンフォニーホールに向かう方面だけ解放されていた。遮蔽膜の向こうにはららぽーと系のショッピングモールが造られていた。それが2006年9月に開店するやいなや、川崎駅の人の流れは東口から西口へあからさまな方向転換が起きたのだった。さいか屋はこのあおりをもっとも強く受けた商業施設。さまざまな変遷を経て2015年5月に閉店。1年以上建物はそのまま放置されたが、ようやく解体作業が始まって、17年の夏に敷地全面が時間貸し駐車場となった。
 当初は駅東口から見える風景にぽっかりと穴が開いたようで、不思議さと淋しさとが入り交じっていたのだが、半年も過ぎるとむしろ大きな空間が心地よささえ与えてくれるようになってしまった。あれだけ「不便、不便」とさいか屋閉店を嘆いていたことが(もちろん続けてくれていたら確かに便利ではあるのだが)ウソのようだ。
 さいか屋跡地を西に一ブロック進むと通称「さくらロード」という広い道路があって平屋の自転車駐輪場が連なっていたが、これも11月に取り壊されて、ここもまた何もない、風通しの良い空間が広がった。相次いで急に開けた空間が出来たのには些か驚いた。さくらロードは道路改良工事ということでこの先何らかの再開発計画があるのだろうが、さいか屋跡地は「低層の商業施設を設置するらしいよ」という、全くの未確定情報のみ。
 Out of sight, out of mind.
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