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No.559 人生、悩みは尽きぬもの

 最近、関係している仕事柄で「在宅医療」について話を聞くチャンスが増えている。超高齢化社会に向けて、行政が必死になって地域包括ケアシステムを構築する中で、市民の側も自分の終末期についてよく考えてほしいということなのだろう。
 自分の最期をどう決着つけるのかは、誰にとっても大事な問題なのだが、その実、確たるプランを持っているわけでもなく、ただなんとなくというかぼんやりというか「ああなるだろうなぁ」ぐらいにしか思いが至らない。
 昔は確かに多くの人が自宅で最期を迎えていた。それが1980年を境に病院で亡くなる人の割合が増え、人の死は高度な医療によって管理されるようになっていった。そのカテゴリーの割合が増えれば、それがスタンダードになるわけで、わずか40年ほどの間に人は「人の死」を「看取る」ということをほとんど経験しない、あるいは忘れたままで高齢化社会に突入した。
 日本人の平均寿命が世界トップクラスであることはよく知られている。最新データによると、男性で80.98歳、女性で87.14歳(厚労省H28)。一方、健康寿命は男性で71.19歳、女性で74.21歳(厚労省H25)。ということは、その差が「健康でない期間」、つまり「そのものズバリではないが、介護が必要な期間」になる。なんと、男性で9.79年、女性で12.93年(厚労省H28)だ。
 昔遠野で暮らしていたとき、時の市長(彼もいわゆる後期高齢者だった)が地域のお年寄りたちの集まりで力説した。「これからのお年寄りはぜひGNPで」と。すなわち「元気で」(G)「永生きして」(N)「ぽっくり逝く」(P)。会場大受けだった。だが、介護が必要な年数が10年から13年もあるとなれば、それはあながちネタではないな、と妙に納得させられる。
 平均寿命65歳だった頃(1960年頃)のセカンドライフはせいぜい10年。今20年。超高齢化社会となり、その分悩み事も多数引き寄せるということか。