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No.563 初笑い

エッセイ「多摩川べりから」
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 新春恒例我が家の行事は、箱根駅伝往路を沿道で応援することと、浅草で初笑いすること。今年は4日に東洋館に出かけた。
 初席は別名「顔見世興行」とも呼ばれていて、一人あたりの持ち時間は短いがその分たくさんの芸人が舞台に登場する、見る側にはちょっとお得な設定。芸人の一人が舞台上で「木戸銭を頭数で割ったらあたしゃ57円で」と笑いを誘う。確かに3000円で時間さえ許せば3部構成を入れ替えなしで50人以上の芸を楽しむことが出来る。コスパは最高かも知れない。
 それぞれの部のトリをつとめる芸人を「主任」と呼ぶ。三人はそれぞれ80歳と70歳と54歳。70歳の主任は23歳で弟子入りし35歳で真打となった。40歳で「若手演芸大賞」を受賞、66歳で紫綬褒章を受章した経歴の持ち主。驚くのは40歳が「若手」だという現実だ。
 寄席が好きな理由の一つが、我々「牧師」という職業と通ずるなぁと思える点がたくさん見いだせるということ。そんなことを考えながら座っていること自体がとてもセコい気もするが…。
 まず「話芸」だということ。もちろん出し物の中にはマジックや紙切りなどもあるが、ただその技術を見せるだけでなく必ず話芸が付いている。話しぶり──勢いや間──が見る人をどんどん引きこむ。さすが名人と思わず唸らせる人、今後がますます楽しみだと思える人、似たようなネタでも笑わせ方の違いに奥の深さを感じる人、様々だ。
 加えて40歳が若手と呼ばれる業種。「定年がないからいつまでも居座る、そういう人がゴロゴロいる」とからかう“若手”でもわたしと同い年だったり。そうからかいつつも名人の奥深さを充分にリスペクトしているのが「芸」の、「芸人」の世界なのだろう。
 そこまで到達しているかどうか甚だ疑わしいのは、こちらの現実…。
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