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No.145 地殻変動の始まり

エッセイ「多摩川べりから」
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 子どもの頃、年末年始のテレビといえば、深夜枠を使って流される懐かしい名画だった。放送時間の関係か、大胆にカットされていたりもしたのだが、それでも映画館のない田舎の少年には、この時間がとても嬉しかった。かつて娯楽の王座を保っていた映画が、テレビジョンの登場によってその地位を脅かされ、出かけなくても茶の間に娯楽がやってくるようになった。  今、年末年始はスポーツ特番とお笑いが多数を占める。しかもどの特番も考えられないほど長時間割かれるようになっている。だが、時間が割かれれば割かれるだけ、娯楽の王座の断末魔のように思えてくるから不思議だ。  日本経済新聞社がインターネット版の新聞を有料で売り出すことになったらしい。紙媒体としては大胆な一歩。いずれは紙の新聞を止めてしまうことを前提としているのだろうか。テレビもこの不況をもろに受けているようだ。各局でいわゆる“大物司会者”が降板し、変わって“局アナ”が前面に出るようになった。目に見えるわかりやすい変化だろう。制作費が削られている現実が、今年の年末年始のテレビに如実に表れているのだろう。これが視聴者にどのように受け止められるのか、その具合によってはメディア全体に大きな揺さぶりが起こるかもしれない。  コンピュータやインターネットが一般に普及・浸透し始めたのは、今では懐かしい「Windows95」の発売あたりからだったのではないだろうか。15年を経て、社会のありように大きな変化をもたらすまでになったということだろう。「放送と通信の融合」が問題になっていたのはつい数年前の話だが、それさえも今では懐かしくすらある。  大きな変化の渦を、確かに今わたしたちは目の当たりにしている。2011年にはテレビのアナログ放送終了。かつて映画に取って代わったテレビが主役の座を降りるのかどうか。その後何が起こるのか。見当も付かないが。
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