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No.151 客寄せパンダ、復活か

エッセイ「多摩川べりから」
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 上野動物園に来年パンダが復活するらしい。  上野の最後のパンダ、リンリンが死んだ時、「生きているものは必ず死ぬ。パンダだって死ぬだろう。大泣きして悲しむことはない。見たけりゃ、いるところへ行って見てきたらいい」と言い放った中国大嫌いの都知事のこと、間違っても頭など下げたくなかっただろう。だが、入場者数という数字が全てを物語った。復活決定後の記者会見では「子どもたちに希少動物保全の大切さを伝える教育効果も期待できると思う」と宣った。「日の丸・君が代」で教育現場を締めつける都知事らしいなんとも高尚な教育論ではないか。もちろん「5万ドル値切った」と厭中国ぶりは健在だが。  ただ、来園者減少の原因の全てをパンダのせいにするのはどうなのだろう。来園者トップを窺う北海道の旭山動物園にパンダはいない。だが、動物の生態に即した展示がユニークで、未だに人気は衰えていない。都知事もかつてそのように指摘していた。「(上野動物園は)工夫が足らない」と。  実質のレンタル料は5万ドル値切って95万ドル(約8,500万円)だという。大人の入園料が600円だから、約15万人の入場料がパンダレンタル料として消化される。300万人の内5%。これが費用対効果としてどうなのか、実際のところはわからない。  わたしたちは川崎に越してきて間のない頃、今思えばリンリンの最期の姿を見た。見るからに元気がなく、見学者に背を向けてじっと座っていた。自慢のパンダ舎もひっそりとしていた。かつてこの通路に人が溢れ、立ち止まることが許されなかったなど想像もできなかった。その夢が再びとなるのかどうか、周辺の商店街のそろばんどおりなのかどうか。  パンダという目玉を確保して本当に問われるのはむしろこれからだろう。どういう工夫を見せるのか、底力が発揮されるのか。
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